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2017.04.03 魔女の一撃
またサボって間隔があいてしまいました。
1ヶ月って早いですね。

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最近、ちょっと腰が痛いです。
学生時代に部活で痛めて、最近は少し調子よかったのですが・・・。

2月ごろだったでしょうか、テレビで「楽腰(らくよう)」という、コルセット?サポーター?ベルト?のCMをやっていました。
ミドリ安全という会社の製品で、要するに腰を痛めないようにというサポーターらしきものなのですが・・・・CMでモチーフにされているのが、看護師でした。
なるほど確かに、看護師は腰を使いますし、よく痛めます。

さてこのCMの中で、働く看護師同士が「魔女が来るわよ」なんて話をしています。
その窓の外で、本当に魔女が看護師を狙っていて、実際、重いものを持ち上げようとした看護師の腰を魔女が杖でどつくのですが、看護師は平気。魔女は「あれっ?」
いくらやっても看護師の腰は平気。
実は、「楽腰」を巻いていた・・・
というあらすじなのですが・・・・。

私などはこれを見て「ははぁ」とピンときました。
看護師にわざわざ欧米人を使っているのも、納得がいきます。
ですが、これは、一般の方には少々分かりにくいというか、いささか説明を要すると思います。

ギックリ腰で、ギクッ!とくる、あの一瞬。本当に動けなくなるようですね。
一瞬で起こるあの痛み、あれを欧米では「魔女の一撃」と呼ぶのです。

それを踏まえると、あのCMの意味がもう少し分かります。
一撃を加えようとした魔女が、「楽腰」にそれを阻まれる、そのぐらい「楽腰」は腰にいいですよと、そう言いたいわけです。

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「魔女の一撃」に限らず、昔の人は症状名や病名に、とても文学的というか、粋な名前のつけ方をしたものです。
実際、次のようなのがあります。

●「ウンディーネの呪い」;curse of Ondine
水の妖精、ウンディーネ(オンディーヌとも)の呪いで、息ができなくなるということになぞらえて、特殊な呼吸障害にこういう名前が付きました

●「クロコダイルの涙」;tears of crocodile
ワニの涙症候群;crocodile tears syndromeとも言います。
病気や手術の後遺症で、顔面神経のつけ間違いが起き、悲しくもないのに食事中などに涙が出てしまう症状をこう言います。

●「不思議の国のアリス症候群」
本当にあるんです、こういう症候群。内容は・・・噛み砕いて説明するのが面倒なので、割愛します。

●「メデューサの頭」;caput Medusae
門脈圧亢進症状として有名な症状で、医学生でも知っていますが、最近あまりお目にかかりません。肝硬変などで、門脈の圧力が高まってしまった時に腹部に現れる模様です。

この他に、ギリシャ神話がらみで言えば、「アキレス腱」もありますね。ギリシャ神話の英雄・アキレスがこの部分を射抜かれて倒されたので、それにちなんで「アキレス腱」と名付けられたと言う・・・ま、あまり役には立たないトリビアなんですが。
でも、こう言う名前があると無味乾燥な医学も多少は面白くなりますよね。
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今年は100年記念大会だそうですね。始球式は世界の王さん、選手宣誓は第1回大会の優勝校(の流れをくむ)鳥羽高校(何と、三重県ではなく京都府だそうです)の主将。今年も色々と話題豊富です。

とか言いつつ、今回の話題は野球ではありません。

PL学園の高校球児が、白血病に罹り、闘病のため1年留年し、それでも頑張って大阪予選に出場したと言う記事がありました。準々決勝で敗退したそうですが・・・。

また、大木凡人さんが、大動脈解離で手術していたとの報道がありました。
「誰だそれ?」と言う人がいるかもしれません。
名前聞いて分らなくても、見ればわかる人は多いと思います。
ワイドショーでリポーターを数多くこなした人です。


この2つの記事(スポーツ新聞ですが)で共通し、とても気になったのが「難病」と言う記載。

マスコミ関係者は、ちょいと難しそうな病名にはすぐ「難病」とつけたがります。「難病」=「難しい病気」程度にしか思っていないのかもしれません。ちょっと待って頂きたい。
大動脈解離も白血病も、生命に関わる重大な病気ではありますが、決して難病ではありません。


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実は、医学的には、「難病」と言うカテゴリーはありません。
あくまでも、福祉政策の一環として、行政的に指定されるものなんです。
そして、この難病と言う制度、実は世界的にも類を見ない優れたシステムなんです。
難病に指定される病気は、患者数が少なく(希少疾病と言います)、原因不明で治療法が確定していないものから選ばれます。
そう言う病気は、マーケットが小さい分利益が出にくく、投資額を回収しにくいため、企業も薬の開発などに及び腰になりやすく、勢い研究が遅れがちです。その分、患者さんやご家族の負担が重くなります。

そう言う病気を、国の主導で何とかしようと言う制度が、この難病と言う制度です。
その分、国や地方自治体の財政を圧迫しますが・・・。
当然ながら、難病に指定されるには「原因不明である」「患者数が少ない」など、一定の基準があります。
命にかかわる病気でも難病でない物はゴロゴロあります。



難病と言う制度の出発点は、昭和47年。
スモン(SMON:Subacute Myelo-Optico Neuropathy)と言う病気が指定されたのが最初で、これ自体も神経内科の病気です。
その後難病の数はじわじわ増えて、認定される患者さんの数も増えて、制度的には(財源も含めて)限界が来ていたと言うことで、今回の法改正に至りました。
「難病の患者に対する医療等に関する法律」と言う名前の新しい法律(いわゆる難病新法)が施行されました。

この法律の中で、難病に認定される疾患の数が、これまでの56疾患から一気に304疾患へ増えました。
こうなるともう、とても覚えきれません。
ですが、相変わらず神経疾患の数の多いこと。
難病情報センターのホームページに入ると、疾患カテゴリーごとに分けて検索できるようになっていますが、「神経疾患」のカテゴリーは、そこに含まれる疾患の数がやはりトップです。
ウィルソン病など、これまで「なぜこの疾患が難病に認定されていないんだろう」と思っていた疾患も認定されました。


ややこしいのは、障害者総合支援法でも「難病等」の相談を受け付けるとあり、この「難病等」は上記の指定を「参考にする」としつつ、結果的に322疾病と微妙に異なっている事です。
あっちの法律では難病に指定されているけど、こっちの法律では該当しない、と言うことが生じる訳です。
2つの法律の成立過程のタイムラグによるものですが、まさにお役所仕事。勘弁して欲しいです。


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昨年、難病ALS(こっちは本当に難病です)をブログの記事にしました。
昨年は、ドラマやアイス・バケツ・チャレンジなどでも話題になりました。


その時、「治療薬としてさまざまな薬が検討されているが、軒並みダメだった、エダラボンもダメだった」と書きました。
そのエダラボンが、ついに厚労省の認可を得て、この6月からALSの治療に使えるようになりました。
・・・といっても、治験でそんなにいい成績を出せたわけではない上に、高価な薬で、2週間毎日点滴しなければなりませんが・・・。

それでも、全くと言っていいほど手立てがなかった病気に、1つでも選択肢が増えるのは悪くないことだと思います。
私も早速、外来で担当している患者さんに、点滴治療をお勧めしました。

少しでもいい結果が出てくれるといいのですが・・・。

再来週あたり、受診するはずです。
今回は、私の母校が主管で、もちろん教授は恩師です。
認定医の更新のためのポイントを取得しないといけないと言うこともあり、宇都宮まで行ってきました。

学会場では朝から活発な討論が行われていました。
着いて早々、後輩のT君に会いました。
後輩と言っても、既に神経内科の准教授。脳卒中のスペシャリストで、今回の学会の事務局長です。
いやぁ、偉くなったもんだ。
若かりし頃の思い出話に花を咲かせつつ、ちょいと学会や教授の裏話も仕入れたりして。
おっと、これ以上は内緒です。

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睡眠学会の面白い所は、参加者のバリエーションが広い所です。
例えば神経学会ではほぼ全員神経内科医ですが、睡眠学会は違います。
医師だけでも、神経内科を始め、精神科、呼吸器内科、循環器内科、耳鼻科、歯科など多くの科の医師が参加しますし、他の職種として検査技師や看護師、栄養、心理など多職種の発表がありました。

更に面白いのは企業展示。
テイジン、日本光電、フクダ電子、フィリップスなどといった、睡眠時無呼吸症候群に使う医科機械のメーカーや、グラクソ・スミスクライン、ツムラと言った製薬メーカーはいつもの顔ぶれですが、一見睡眠とは関係ないような企業も数多く出展していました。
富士フィルム(抗酸化サプリメントによる睡眠の改善)、ミズノ(マットレスによる疲労回復、快眠)、ヤマハ(音による睡眠導入)、ライオン(清酒酵母による睡眠改善)、アイシン精機(マットレスからの送風による暑熱季の睡眠環境改善)、鹿島建設(病室における、光、音、温度環境の改善)、バスクリン(清涼感のある入浴剤による暑熱季の入眠環境改善)などなど・・・。
こういう所は、褥瘡学会と似ています。
さすがに、睡眠は全人類(というか大半の動物)が関わるだけに、裾野は恐ろしく広いです。


ま、これだけ幅広い企業展示だと、中にはブースには入っているけれどあまりよく分っていない人もいたりします。少し興味を持って近づくと、思いっきり営業トークをされたり。
しくみや効能などについて、決まりきったマニュアル通りの答えなら返せるようですが、少し突っ込んだ質問をすると「??」みたいな顔をされたり。
若い人はそんな風ですが、おばちゃんは強力です。こっちの質問に対しトンチンカンな返事を返した上で、「いや、聞きたいのはそう言うことじゃなくて・・・」と言うと、「向こうで詳しい説明をしていますので」などといって強引に案内の紙を押し付けてきたり。客引きですか。


毎回出展していて、なおかついつも盛況なのが、足のマッサージ機器の会社。大体、いつも2~3社が出展していますが、ブースが空いているのを見たことがありません。いつも誰かがマッサージ機を使い、説明を聞いているような聞いていない様な。
残念ながら、今回も試すことはできませんでした。

あと、今回は寝具メーカーを見かけませんでした。結構ベッドや枕のメーカーが展示をしていることが多いのですが。

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シンポジウムでは、改訂されたばかりの国際睡眠障害分類(ICSD-3)の話しや、運転関連、認知症との関連、子供の睡眠障害、無呼吸症候群関連、睡眠障害と労働災害・労務管理の話題、レム睡眠行動障害と認知症、むずむず脚症候群とパーキンソン関連疾患、オレキシン関連の研究の話題、睡眠の基礎研究の話題、不眠の認知行動療法などなど、幅広く討論されていました。

今年も色々と収穫がありました。
久しぶりの更新です。

少し前のニュースですが、「加藤茶さんに重病説が流れたが、結果的にはパーキンソン症候群で、あまり大したことにはならなかった」との報道がありました。何でも、胃薬が合わず、副作用で起こしたのだということです。
この報道で、私などは「ははぁん」とピンときました。

「パーキンソン」は病名としては結構知名度がありますが、実はこれ、神経内科の専門中の専門と言っていい病気です。
ひと口に「パーキンソン」といっても、大別して「パーキンソン病」と「パーキンソン症候群」の2つがあり、主症状はよく似ていますが、原因や経過が明確に異なります。
このうち、パーキンソン病については、「脳のこの部分がこういう風にやられる」と言うことが明確に、顕微鏡レベルで確定しています。詳しく言うと、中脳の黒質と言う部分が変性と言う変化を起こす、という風に判明していて、これはもう医学生レベルでも知っていなければならない知識で、当然国家試験にも出ます。従って、建前上はすべての医師が知っていなければならない(知っているはずの)知識です。
一方、パーキンソン症候群は、パーキンソン症状を起こすもので、パーキンソン病以外の全てのものを指します。これには色々な原因があり、これまた医学部の進級試験や国家試験ではよく聞かれる項目です。
この、パーキンソン症候群を起こす原因として、脳梗塞や脳炎、重金属中毒、各種の神経変性疾患などがあります。
さて、このパーキンソン症候群を起こす「色々な原因」の中に、ある種の薬が含まれます。いろんな種類の薬で見られるのですが、その一つに実は胃薬があります。細かいことを言うとかなり色々あるのですが、日常診療上で良く遭遇するのは、3種類程度です。従って、あの報道を見て、sの3種類がパッと頭に浮かびました。薬剤名までは報道されていないようですが、いずれにしろ薬剤性のパーキンソン症候群は、薬をやめれば回復します。加藤茶さんも既に高齢なので、その後の経過はいささか気にかかる所ですが、まああまり心配はいらないでしょう。

ところで、薬剤性パーキンソン症候群を起こす薬の筆頭と言えば、何と言っても抗精神病薬です(よく混同されるのですが、この場合は「向精神薬」ではなく、「抗精神病薬」です。念のため)。2000年代になって出てきた、いわゆる非定型抗精神病薬では、定型抗精神病薬に比べて、副作用としてのパーキンソン症候群を起こす頻度は大分減ってはいますが、それでも軽いものを含めるとまだまだ普通に見かけます。殊に私は神経内科医ですので、パーキンソン症状には殊更敏感になってしまいます。

薬剤性パーキンソン症候群の治療の原則は、原因となる薬剤の減量ないし中止です、加藤茶さんはこれが出来た訳ですが、精神科では治療の必要上、抗精神病薬の使用は避けられないケースもあり、そうなると副作用が出るのを覚悟で使わなければならない場合もあります。その場合、抗パーキンソン薬を使うこともありますが、抗パーキンソン薬にもそれなりの副作用がある訳でして・・・。

精神科と神経内科の診療では、オーバーラップする部分は結構ありますが、このパーキンソン症候群もその一つです。

ちなみに、最近知名度が少しずつ上がってきた、レビー小体型認知症もパーキンソン症状を起こします。厳密に言えば、レビー小体型認知症で起きるのはパーキンソン症候群というよりパーキンソン病と言った方がいいかも知れません。その辺の位置付けについては、レビー小体等の脳内蛋白に関する近年の研究結果を踏まえ、色々と疾患概念上の議論がありますが、あまりにも専門的になるので、この辺でやめておきましょう。
先週、世界中でアイス・バケツ・チャレンジが話題になり、ニュースでも大きく取り上げられました。
ALS(このブログでも3月に取り上げました)を知ってもらうためだとして、バケツの水をかぶるか、100ドル寄付するか、その両方かを選択し、更に次の3人を指名するというもので、世界中の有名人が乗ったことで一気に広まりました。

そのチャレンジ自体はそう悪いことではないと思うのですが・・・・。
手法自体がチェーンメールと同じだという批判があります。
私もそう思います。

目的は悪くないと思いますし、手法に批判はあっても、ALSの知名度が広まったことは、ひとまず良しとすべきでしょう。
しかしながら、水をかぶることのインパクトが強すぎて、関心がそっちの方に行き過ぎてしまったような気がします。
結果的に、ALSという名前は知られたものの定着したとは言えないでしょう。
いわんやその中身がどれだけ知られているのかと言うと・・・。


むしろそれ自体が目的の娯楽のようになってしまい、当初の「ALSと言う難病を知ってもらう」と言う目的が置き去りにされているように感じます。
寄付した人は、ALSのことをどれほど知ってくれたのでしょうか?
「治療法のない難病?そりゃ気の毒だ、寄付しよう」
てなことでは、病気のことを知りもせずお金を出しているだけです。
それだけならともかく、単に氷水をかぶるイベントぐらいにしか思われないとしたら、本来の目的を完全に逸脱してしまっています。

そのせいかどうか、「何でALSだけ?他にも難病なんていっぱいあるじゃん」と、「難病」くくりで十把一からげに言われてしまっているものまであります。これではむしろ、ALSにネガティブな印象がついてしまいかねません。
それもこれも、ALSがどれほど酷い難病か(別に他の難病が酷くないと言っている訳ではありません。
念のため)を知らないからこそ出る批判だと思います。

ALSを始め、筋ジストロフィー、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、重症筋無力症、多発性硬化症、CJD、CIDP、ベーチェット、SLEなどなど・・・難病56疾患の内、神経疾患とされるものだけで15、神経症状を来し神経内科医が関係するものになると半数を超えます。皮膚科、内分泌科、循環器科、呼吸器科、整形外科など・・・他の難病を扱うかと比べて、群を抜く多さです。神経内科医は、日々難病と対峙していると言っても過言ではありません。
ALSを含む、難病を取り巻く状況を、この機会に多くの人に知って欲しいと願っています。
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