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これまで3回にわたり、寄生虫疾患をネタにしてきた訳ですが、寄生虫疾患の日本国内での発生状況は極めて少数です。

これは、もちろん過去の医療従事者や研究者保健所、行政機関などの努力の賜物なのですが、半面、近年では診断能力が低下し、ほとんど見つけられないという事態も起こっています。まぁ、無理もないですね。一部の大学や専門研究所などを除けば、ほとんどお目にかかることのない疾患ですから、自然、学生時代の講義も甘くなりがちです。一応、国家試験の範囲には入っているので、勉強しなければなりませんが、正直学生だって「こんなの覚えたって将来役に立たない」と思えば、自然とモチベーションは下がります。
進級試験ではしっかり勉強しても、後はすっかり忘れて国試直前に付け焼刃で覚えて、ハイ終わりです。実際の患者さんを診なければ、いくら勉強しても忘れてしまいます。
実際、一部の地域(北海道のエキノコックスとか)を除いて、日本国内で臨床医をやる分には、それでほとんど足りますから。


日本では本当に寄生虫疾患を目にしません。診断に難渋する時には一応考えるべしと言われていますが、パパッと頭に浮かんでくるようなものでもありません。


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最近は、いい年の成人が親元で同居して、家賃も食費も入れず自分の収入を自分の事だけに使い、結婚することもなく独身貴族を謳歌している人が増えているようです。そう言う人を称して、パラサイト・・・正確にはパラサイト・シングルと呼びますよね。これ、「寄生虫」という意味です。特に、結婚適齢期の独身女性に対して、「早く結婚しなさい」という圧力をかける文脈で使われることが多いようです。これに関しては、「結婚・妊娠・出産こそが女性の役割であり幸せ」という、昔の日本の価値観を引きずった人たち(主に親の世代)の視点と言うこともあるでしょうか。
そりゃまぁ、自活能力があるにも関わらず親の収入を食いつぶしている状態なので、「寄生虫」と言われても仕方ないかと思いますが・・・あまりにも一方的というか・・・・・言い得て妙だとも思う反面、もう少しオブラートにくるんであげても・・・と思ったりもします。
そういう人たちにもそれぞれ事情や悩みはある訳ですし・・・。とは言え、家賃や食費ぐらい入れても良いんじゃないかとは思いますがね。

現代日本に残った、数少ない「寄生虫」でしょうか。あっ、企業や役人の中にもいそうですね。
そう言えば、名古屋は元々男女を問わず親と同居する気風が強いですが、やはりそう言う地域の方が「パラサイト」は多いのでしょうか。
若者間の格差やワーキング・プアの問題、ライフスタイルの変化、結婚年齢の上層・女性の社会進出など、産業や経済などとも絡む、根の深い問題の様です。

でも、母集団が増えたせいか、近年は「おひとり様」と称し、企業側からは重要な客層として注目されているようです。

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・・・・えっ?あなたの職場にも寄生虫がいるって?
いやまぁ、それは・・・どこの世界にも困ったちゃんはいますよね。
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さらに寄生虫ネタで引っ張ります。
今回はちょっとグロい話がありますので、耐性の低い方はご注意を。

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睡眠疾患の一種に、むずむず脚症候群というのがあります。
典型的な場合は、「寝ようと思って布団に入ると、脚がむずむずして動かしたい衝動に駆られて、辛くて寝付けない」というものです。
この「むずむず感」、時には足の裏やふくらはぎの痛みやヒリヒリ感であったり、灼熱感だったり、痒みだったり、バリエーションはいくつもあるのですが、その一つに「虫が這う感じ」というのがあります。
医学用語ではこういうのを「蟻走感(ぎそうかん)」といいます。実際に蟻かどうかは関係ありませんので、なぜ「蟻」なのかはわかりませんが・・・。
蟻走感自体は他の疾患でも見られますが、むずむず脚症候群では脚の中や皮膚の裏などに、「虫が這う感じ」が現れます。
皮膚の裏なので、掻いてもまさに「隔靴掻痒」の感で、如何ともし難い苦痛となります。


さて、この皮膚の裏の蟻走感、他の病気でも時々見られますが、その「他の病気」の1つに、精神疾患があります。中でも統合失調症に割と良く見られていた症候で、「皮膚寄生虫妄想」と言います。
まさに、「皮膚の中に寄生虫がいる」感じです。これは脚でなくてもどこにでも現れます。
普通、寄生虫が体内に寄生する場合、農家であったり何かの魚介類や獣肉を生食したり、特定の地域に住んでいたり旅行した後だったりすることが多いです。寄生虫だって、人間の体内に入るためには生息地に人間が来てくれないといけませんし、自分の力では入れません。寄生虫が棲んでいる何かを口にしたり、昆虫に刺されたりして、初めて体内に入ります。
ところが、精神疾患で皮膚寄生虫妄想がある場合、そう言う出来事がまるでなかったとしても、患者さんは「寄生虫だ」と言い張るようです。普通なら「何かの虫」ぐらいで終わらせるのを「寄生虫だ」と断言したり、時には「ウジがいる」などと種類まで特定したりします。この辺がまさに精神症状としての奇妙さでもあるのですが。
また、こういうむずむず感、触覚の幻覚、すなわち幻触(体感幻覚ともいます)としても現れることがあります。「これは一体、幻覚(=知覚の異常)なのか妄想(=思考の異常)なのか」・・・昔から、精神症候学では議論になってきたネタです。


仮に、何らかの虫が間違って皮膚の中に入り込んでしまったらどうなるでしょうか。一般論から推測するに、恐らく生体の防御反応で死んでしまい、カプセル化されて炎症を起こすと思われます。よほど大きなものでない限り、体の中で生き続けて皮膚の下を這い回るなんてことは出来ないと思われます。蟻ぐらいの大きさでは恐らくすぐ死んでしまうでしょう。まして、1匹1匹の動きを感じ取ることも無理だと思われます。皮膚疾患の一種、疥癬ではまさに皮膚の下を疥癬虫(ダニの一種)が動き回り、疥癬トンネルなんてのを作りますが、全体としての痒みであって、1匹1匹が這い回る感じがする訳ではありません。
その辺りが皮膚寄生虫妄想を見破るカギになるでしょうか。

そう言えば最近は、皮膚寄生虫妄想は聞かなくなりました。少なくなってきたんでしょうね。
ですが、油断はいけません。


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10年位前に、上司に聞いた話です。
「とある単科精神科病院で、長く統合失調症をを患っている人が、ずっと『頭の中に蛆がいる』と言い続けていた。医者は、皮膚寄生虫妄想か体感幻覚だろうと思っていたのだが、ある日頭髪の中から本当に蛆虫が出てきた。頭髪を剃ってみると、頭部に傷が出来ていて、そこに蛆がわいていた。転倒か何かで怪我をしたのだろうという結論に落ち着いた」
患者さんの訴えは、虚心坦懐に聞かなければならないという戒めのようなエピソードです。


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よく、「このウジ虫め!」などと言う言い方をしますが、蛆虫に対して随分失礼な言い回しだと思いませんか。ま、気持ちはわかりますが・・・。
実は、蛆虫って医療にも使われることをご存知でしょうか。
その名の通り、蛆虫療法(Maggot therapy)と言い、日本ではまだポピュラーではありませんし、保険適用外ですが、海外では結構行われています。皮膚潰瘍などを蛆に食わせると、傷がきれいに治りやすい、ということで、特に美容上の効果があるようですが、近年では抗菌薬による耐性菌の問題もあり、意外に注目されているようです。現に、いくつかの大学などでこのMaggot therapyを行っているようです。

この通り、蛆虫は、ハエの幼虫という点では衛生害虫ですが、傷口を治してくれる益虫という見方もできるんです。
ただ・・・やっぱり、感覚的には気持ち悪いですよね。傷口をウジ虫が這いまわる・・・。それ自体痒そうですし、映像としてもやっぱり不愉快な部類には入りますよね。


昨今、「はだしのゲン」の描写が過激だとか何とかで、子供に見せないようにするかしないかの論争がありますが、あの作品でも、死体や傷口にウジがわいている場面が結構よく出てきました。私も小学生時代に読んで、非常にショックを受けた覚えがあります。
なんでも、昔の軍隊では、「ウジ虫の湧いた傷口は化膿しない」というのは、常識だったんだそうです。経験は強いですね。
そう言う知識があると、案外恐ろしさや気持ち悪さも少し軽減されるような気がするから不思議です。

不快・過激だからと言って全部排除してしまうのもどうかと思います。まぁ、小学校1~2年辺りは配慮が必要かもしれませんが・・・でも、そういう「子供扱い」が子供の精神的成長を阻んでいる、という気がしないでもありません。

日本は死や戦争というものを教育することをもっと真剣に考えるべきでしょうね。

おっと、寄生虫の話から戦争にまで話が及んでしまいました。

脱線はこれくらいにして、今回はこれまでにしようと思います。
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