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この所、脱法ハーブを吸っで車を運転し、暴走して人を死傷させる事件が相次いで報道されています。
飲酒運転もなかなかなくなりません。北海道では飲酒の末に携帯いじって、4人も死傷させる(しかも、加害者も被害者も全員30歳前後)という事故が起きました。
いずれも、無くてもいい余計なものを摂取した結果、意識水準の低下を来したことが直接的な原因です。

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今年5月に「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」なる長い名前の法律(通称=自動車運転死傷行為処罰法)が施行され、自動車を運転するにあたって、事前に注意すべき疾患群が規定されました。要するに、「これこれという病気にかかっていて、『車の運転に支障が出るかもしれない』事を認識(治療しているかどうかは不問)していて運転し、他人を死傷させたら厳罰に処すぞ」と言う法律です。

この疾患群は、道路交通法の相対的欠格事由を流用したものなのですが、そこには統合失調症やうつ病など、向精神薬を服用する疾患やてんかん、睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシーなどがあげられ、そのほとんどが当院で扱っている疾患です。
どれもこれも、意識水準の低下を来す恐れがあるということで、「危険」とされているものです。

栃木県と京都府で、てんかんの患者が相次いで事故を起こしたことで社会問題となり、慌てた政府が慌てて作った・・・と言う背景から、まぁ正直てんかんを槍玉に挙げた法律だという印象です。


ところが。
これは参ったと思っていたら、法律施行後、早々に低血糖が原因と思われる人身事故が起きました。

危険な運転により人を死傷させたという結果は同じですが、その行為の背景は大きく異なります。
脱法ハーブや飲酒による場合と違い、低血糖は疾病によっておこったやむを得ない症状です(どうして糖尿病になったのかと言う議論はさておいて)。

医者の目から見れば、本質的には「意識障害」の一言でくくられる一群であって、別に何の不思議もありません。糖尿病患者が運転をする以上、いつかは起こる(たぶん今までにも起こっていたであろう)筈の事故であって、たまたま重大でなかったからあまり取り上げられなかっただけのことです。

ところが、上記の法律を作った役人は慌てたのではないでしょうか。


統合失調症やてんかんやナルコレプシーなんて、こう言っては何ですが、社会で働いている人の中では、所詮マイノリティ。もとから働くためのハードルが高く、現時点ではそもそも働けていなかったり、運転を制限させられたりしていて、今更運転がダメだと言われても経済活動に与えるダメージはそう大きくないでしょう。
それはそれで大きな問題で、例によって言いたいことは山ほどあるのですが、今日の本題ではないので割愛しまして・・・。

一方、患者数が950万人とも言われる糖尿病となると話が変わってきます。恐らく、厚生労働省や法務省、警察庁・警視庁の中にも、糖尿病で治療しながら働いている人はわんさかいるでしょう。下手をすると、それらの人達も「運転NO」と言われかねない事態です。
糖尿病の治療を続けている限り、適正な血糖値を維持しようとし続ける限り、低血糖を引き起こすリスクは必ず付きまといます。即ち、「低血糖で意識を失う恐れがある」と言うことになってしまうのです。
つまり、法律を厳格に適用しようとすれば、ほとんどすべての糖尿病患者さんが「運転するには危険な人物」と見なされてしまうのです。
本質的にはてんかんだろうが睡眠時無呼吸症候群だろうが同じことなのですが、それらの病気の人には泣き寝入りを強制しつつ、糖尿病だけは大目に見るって訳にはいきません。殊に、これだけ大きな騒ぎになってしまうと。

さぁ困った。
どうするお役人?


・・・と、対岸の火事のようなことは言っていられません。
ことは、私達にも大いにかかわってきます。
なぜかって?
病気の診断と治療は医師が行うからです。
これまでも、運転に関するリスクの見積もりは、「医師の判断に任せる」と、体よく丸投げされてきました。
今回も、多分そうなるでしょう。

ところがこの法律、概要だけは作ったものの細かい運用規定などがなかなかできません。「いま作ってる」と言ってから数ヶ月。出来たのやら何なのやら、情報がさっぱり落ちてこないのです。
蕎麦の出前じゃあるまいし、全部ちゃんと作ってから施行してくれ、と言いたい所です。
学会やら何とか協会やらも盛んに動いてはいるらしいのですが・・・。
今の所、政府側に大した動きはないようです。
法務省のQ&Aも、私たち医師には何の役にも立ちません。


運転のリスクをどう見積もろうにも、法律的にはどの辺までをセーフだと思っているのか、さっぱり見えてきません。
そんな状態で判断しろと言われましてもねぇ・・・。


天下のお役人たちがどういう見解を出してくるか。
まぁ、仕上げを楽しみに待ちましょう。



・・・と、思っていたのですが・・・。
あの後、更なる重大事件が続いたためか、低血糖騒ぎはほとんど報道されなくなりました。
これをいいことに、役人たちはうまいこと逃げ切りを図ったかもしれません。
こりゃぁ、お役人たちはほっかむりかな・・・。
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今年の第39回日本睡眠学会学術集会は、徳島県です。

四国は初めてでしたが、それほど遠くなくてよかったです。
新神戸からレンタカーで2時間足らず。ちょっとドライブしたらもう到着です。
先般、厚生労働省が睡眠指針を改定して2014年版を発表したことも話題になっていましたが、やはりホットなのは道路交通法関係。
先日も脱法ハーブや低血糖での人身事故がありましたが、過去にてんかん発作で人を死傷させて大問題になったことを契機に、今年5月に新しい法律が施行されました。それに関する種々の話題が議論されたようです。残念ながら、電車の時間の関係でこのシンポジウムには間に合いませんでした。

その他、教育現場からは若者の夜更かしや子供のゲームに関わる睡眠時間の短縮の影響を調査した報告が結構あったようです。
面白いものでは、宇宙飛行士の眠気と作業効率の低下に関する研究がありました。

2日間の日程で学会に出た後、帰途に淡路島を経由しました。
伊弉諾・伊弉冉のふた柱の神によって直接生み出された8つの島の1つとされる淡路島(おのころ島=淡路島とする解釈もあるようで、その場合は日本で最初に生まれた島と言うことになります)。更に、種々の仕事を終えた伊弉諾の命が余生を送ったとされる(亡くなったのか?神様が?)島でもあります。
ここに、阪神・淡路大震災の震災記念館があり、震源地となった野島断層がそのまま保存されています。
災害対策の勉強を兼ねて、この震災記念館を見学してきました。
当時私は医学部の5年生で栃木県に住んでいましたから、揺れを含めて直接の体験はありません。大阪に住んでいた伯父・伯母も幸にして無事でしたし、私自身はこの震災で直接の物的・人的被害を被ってはいませんが、震災報道の記録を見ると、当時の事がありありと思い出されます。高速道路が倒れ、駅の高架がつぶれたあの様は衝撃的でした。
東日本大震災(こちらは直接経験しました)の時のこともよみがえってきます。

今夜、東海地方にも台風8号が最接近します。
当初は伊勢湾台風並みだと言われた台風8号も、とりあえずそこまでの勢いはなくなっているようです。ですが、今夜から明日にかけて県内あちこちで大雨洪水の警報が出ています。
温暖化に伴い、気象条件が厳しくなって災害のリスクも高まっているようです。
東北や茨城県では、いまだに震度4以上の地震がちょこちょこ起こっています(今日もあったようです)。

避難所での睡眠不足は、災害医療の領域ではよく知られる2次被害ですので、睡眠医学も災害と無縁ではいられません。
睡眠医療の勉強もさることながら、災害対策についても考えさせられた経験でした。
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