先週、世界中でアイス・バケツ・チャレンジが話題になり、ニュースでも大きく取り上げられました。
ALS(このブログでも3月に取り上げました)を知ってもらうためだとして、バケツの水をかぶるか、100ドル寄付するか、その両方かを選択し、更に次の3人を指名するというもので、世界中の有名人が乗ったことで一気に広まりました。

そのチャレンジ自体はそう悪いことではないと思うのですが・・・・。
手法自体がチェーンメールと同じだという批判があります。
私もそう思います。

目的は悪くないと思いますし、手法に批判はあっても、ALSの知名度が広まったことは、ひとまず良しとすべきでしょう。
しかしながら、水をかぶることのインパクトが強すぎて、関心がそっちの方に行き過ぎてしまったような気がします。
結果的に、ALSという名前は知られたものの定着したとは言えないでしょう。
いわんやその中身がどれだけ知られているのかと言うと・・・。


むしろそれ自体が目的の娯楽のようになってしまい、当初の「ALSと言う難病を知ってもらう」と言う目的が置き去りにされているように感じます。
寄付した人は、ALSのことをどれほど知ってくれたのでしょうか?
「治療法のない難病?そりゃ気の毒だ、寄付しよう」
てなことでは、病気のことを知りもせずお金を出しているだけです。
それだけならともかく、単に氷水をかぶるイベントぐらいにしか思われないとしたら、本来の目的を完全に逸脱してしまっています。

そのせいかどうか、「何でALSだけ?他にも難病なんていっぱいあるじゃん」と、「難病」くくりで十把一からげに言われてしまっているものまであります。これではむしろ、ALSにネガティブな印象がついてしまいかねません。
それもこれも、ALSがどれほど酷い難病か(別に他の難病が酷くないと言っている訳ではありません。
念のため)を知らないからこそ出る批判だと思います。

ALSを始め、筋ジストロフィー、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、重症筋無力症、多発性硬化症、CJD、CIDP、ベーチェット、SLEなどなど・・・難病56疾患の内、神経疾患とされるものだけで15、神経症状を来し神経内科医が関係するものになると半数を超えます。皮膚科、内分泌科、循環器科、呼吸器科、整形外科など・・・他の難病を扱うかと比べて、群を抜く多さです。神経内科医は、日々難病と対峙していると言っても過言ではありません。
ALSを含む、難病を取り巻く状況を、この機会に多くの人に知って欲しいと願っています。
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午後の試験は、あらかじめ提出しておいた症例のレポートに関する口頭試問です。
全受験者をいくつかのブロックに分けて順繰りにやるのですが、私はその分けたグループの最後尾です。私の受験番号は505でしたが、506番から呼ばれました。と言うことは、私はブロックの最後と言うことです。ゆっくり最後の勉強ができると思う反面、「こりゃ待たされるな・・・」と思っていたら、案の定。
大分待たされて、最後は待ちくたびれてしまい、「何でもいいから早く呼んでくれ・・・」てな感じでした。
そして・・・ついに呼ばれました。
私ともう1人、部屋の前の椅子で待つこと数分。さすがに緊張で息苦しくなります。ネクタイが苦しい・・・。
部屋の中から「Prader-Willi症候群は・・・・」
とか聞こえてきます。
げっ、あんまりよく覚えてない!先天性疾患で、筋力低下と低身長とあと何だっけ・・・?
等と考えていても思い出せず、手元の資料にもない。ええい、ままよ。
「とりあえず分んないものは分んないとはっきり答えよう、ごにょごにょ言ってると印象悪くなるから」と、それだけ覚悟して腹をくくろうと思っていたら、前の人が出てきました。
番号からして隣の人が先に呼ばれるかと思っていたら、私の方が先に呼ばれました。
予想外ですが、今更1人位前後したところで、何かが変わる訳でもありません。
よっしゃと心の中で一声かけて立ち上がります。

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ドアを開けると、左手に試験官が2名座っています。試験官は、当然学会でも有名な方なので、私も知っている先生です。
事前に練習しておいた通り、ハッキリと大きな声で受験番号と名前を名乗り、「よろしくお願いします」とあいさつします。
優しげな笑顔で「まぁどうぞ」と着席を勧めてくれますが・・・いささか疲労の色が。
正直、「型通りのあいさつなんかどうでもいいから、早く始めよう」という空気を感じました。
こう書くと印象悪そうですが、別段おざなりって訳じゃありません。
真面目にやってるから消耗してるんで、とにかく早く開放して欲しい・・・・そんな雰囲気です。
そりゃそうですよね。試験官だって、入れ代わり立ち代わり何人も面接したら、そりゃあ疲れるでしょう。

試験官は、「どれどれ」と、受験番号を確認すると、脇に置いてあったレポートを読み始めます。
(ぶっつけで読むんだ・・・。事前に読んでおくんじゃないんだな。そりゃ試験する方だって忙しいから、そんなの無理か。とすると、そうそう突っ込んだ質問は来ないかもな・・・。)
試験官が私のレポートを読んでいる間に、こんなことを考えていました。
心臓はドキドキしているのに、変な所で冷静です。
しかしながら、頭の中の睡眠に関する部分は、ぶっちゃけ真っ白です。
上手く働いてくれる気が丸っきりしません。
緊張した顔してたんだろうな・・・。


症例のレポートについては、いくつか聞かれたのですが・・・。
疾患の特徴、検査の読み、診断の根拠、治療の問題点などなど・・・色々想定していた質問は、全部外されました。
と言うか、もう少し突っ込まれるかと思ったのですが、事前にかなり練り上げたのが良かったのか、大したことは聞かれませんでした。
正直、限られた時間の中でぶっつけでレポート読んで質問するんですから、そう込み入った質問は難しいでしょう。
よほどちゃらんぽらんなレポートでもない限り、そんなに突っ込まれないんじゃないか・・・と感じました。当たった試験官も良かったのかもしれませんが・・・。
概日リズム障害の症例に関しては、治療のアドバイスまで貰い、もはや「ありがとうございます」としか言いようがありません。

終わっての印象ですが、ここでは、勉強量や理解度を見るというより「あなた、この症例、本当に自分で診たの?レポートも自分で書いた?ズルしてないよね?」と言うことを確認するのが最大の目的、と言う感じです。ただ、怪しいと感じたら鬼のように突っ込まれるんでしょうが・・・。


とりあえず、症例に関して聞かれたことには全て答えることが出来て、「よしよし」と内心ガッツポーズ。
最後に「じゃ、判読を」ってことで面接官の先生、手元のスコアをぱらぱらとめくり、PSG波形を提示します。「これの睡眠段階は?」
・・・パッと見、脳波には徐波が多そうです。少なくとも、spindleやK複合はありません。もちろんαもなし。頤筋電図はそこそこの振幅を保ち、EOGも上下動していません。REMではないと思われます。徐波の割合は、50%を少し超えているように思います。
こんなことを、3~4秒程度で考えたと思います。
じっくり考えたいのですが、PSGで睡眠段階の判定なんて、睡眠医療としては基礎中の基礎です。あまり迷っていると「読めねーのか、コイツ?」と思われかねません。そう思われたら質問攻めにあうことは目に見えています。ここは即断です。
「・・・4だと思います」
先生は「うん、まぁ問題ありませんね。これで終了です」と笑顔でおっしゃいました。
えっ、終わり?今の微妙な言い回しは何?違ってた?
敵もさるもの。にこやかな笑顔は返してくれますが、微妙に意味ありげ(に見える)で、意図は図れません。
「合ってるよ、大丈夫」にも見えるし、「ブーッ、残念でした」にも見えるし・・。
とにかく、終わりと言われた以上、後ろもつかえてることですし、とっとと引き上げるしかありません。
大きな声でお礼を言って、引き下がりました。
部屋を出ると、あとは受験者数人と、案内係がパラパラいるだけです。
「・・・・これで終わりですか?」
「はい、終わりです。お帰り頂いて結構です」
手続きも何もいらないようです。
ちょっと肩すかしと言うか、拍子抜けと言うか・・・。
とにかく、終わりました。


廊下を歩きながら、心地よい疲労感に包まれます。
・・・と思っていたら、構内を出た途端、どっと疲れが出てきました。
国家試験や神経内科専門医試験の時ほど疲労困憊ではないですが、やはり試験は疲れるものです。

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近くの喫茶店で休憩しつつ、「あの問題はこうだった」「これは合ってたな」「あっ、この問題間違えた!」などと反芻。
地下鉄でホテルへ向かい、どっと倒れこみます。
あー、とにかく終わった。
こうして思い出して書いていても、あの時の疲労感が甦ってきます。
何しろ受かってよかった。

とはいえ、これで終わりって訳じゃありません。試験こそありませんが、ちゃんと更新のために勉強しないといけません。
今後も勉強です。とはいえ、それほど苦にはなりません。何しろ、睡眠医学って面白いですから。
以前、試験を受けたことを書きました。
落ちたら恥ずかしいので、何の試験かは内緒に(?)していたのですが・・・。
先日、認定証が届きました。
日本睡眠学会の認定医試験です。
これで私も、晴れて「睡眠学会の認定医」を名乗ることが出来ます。
ちなみに、試験を受けるのは4年ぶりぐらいでしょうか。
今までも数えきれないほど試験は受けていますが、やっぱり緊張します。
落ちた時のために残しておいた資料を見返して、当時の事を綴ってみます。

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試験会場は東京の慈恵医科大学の講堂でした。
当日は、附属の看護学校の入学式と重なっていたようで、着慣れないスーツに身を包んだ初々しい女の子とお母さんがぞろぞろ歩いていました。

そんな微笑ましい光景を尻目に、こちとら試験を受ける身です。
会場は、いわゆる階段教室で、上下にスライドする黒板があって、懐かしい感じです。学生時代を思い出します。
睡眠学会の認定試験は、医師、歯科医師、技師の3種類ありますが、試験会場は1つです。受験人数は、ざっと見た所全部で100人を少し超えるぐらいでしょうか。
試験問題が配られます。5者択一のマークシート方式で、共通問題50問、専門問題50問の計100問、時間は120分です。慌ただしくはありませんが、1問に引っかかってのんびり考えていられる程度ではなさそうです。ある程度サクサク進んでいかないといけないな・・・などと、頭の中で作戦を練ります。
とは言え、こちとら共通1次(ちなみに、私の大学受験はセンター試験になる前の、共通1次としては最後だった、平成元〔1989〕年です)以降、マークシート方式の試験は数えきれないほど受けてきているので、それ自体はもはや慣れっこです。
しかし、受験生の中には白髪の方もいて、係員にやり方を聞いていました。マークシート方式に慣れていないようです。うぅむ、そう言うハンディキャップもあるのか・・・。そもそも、あの年で試験受けるの辛かろうに・・・。等と思いつつ、こちらも他人のことを心配している程の余裕はありません。
レベル的には確かにオーソドックスなことを聞いている試験だとは思うのですが、いかんせんこちらも忙しくて(←言い訳)準備不足。それなりの歯ごたえを感じます。
しかし本来それじゃダメなんですよね。こちとら、腐っても(?)神経内科専門医です。普段から脳波を読み、各種神経疾患の診療経験を持つ身として、本来大きなアドバンテージがあるはずなのです(耳鼻科や呼吸器の医者は、もともと脳波なんて読んだことないはずですから)。「こんなの楽勝!」って言えるぐらいじゃないと。

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落ちた時のためにメモっておいた資料をひっくり返すと、問題はこんな感じでした。
●SSRIの睡眠への影響・・・REM睡眠や徐波睡眠はどうなるのか
●PSGの波形を見て、中枢性と閉塞性無呼吸を判別できるか
●紡錘波の周波数はどれくらいか
●セファログラムでアデノイドの位置を指摘
●アーチファクトを最小にするためにどういう事をしたらよいか
●SASの循環器への影響とその治療
●神経疾患を基礎に発症したSASの症例2例(PDとMSA)。
●睡眠日誌を見て、その疾患に対する対応や治療
●RBDの薬物療法
●睡眠関連歯ぎしりに関連するものは、以下のうちどれか。・・・
●精神生理性不眠の治療
などなど・・・・・。

「???」という方と、ニヤッとしている方と色々でしょうが、まぁ雰囲気を味わって頂ければ。

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昼食をはさんで、午後は面接です。
昼食は各自で摂れとの事。三々五々、繰り出しています。
こんなこともあろうかと、あらかじめ用意しておいたおにぎりを持って、校舎の外へ。
空いたスペースに陣取って、おにぎりを頬張りながら教科書を開き、迷った問題を調べます。
何人かで連れ立ってきている人達は、「あの問題、何て答えた?」「俺はA」「えっ、Cじゃないの?」とかやっています。
大体、問題を作る方も上手くひっかけてくるので、迷う所は結構似てくるんですよね。
しかもそれが、結構基本だったり重要なポイントだったりする訳で。
当然、面接でも聞かれる可能性があります。

しかし、終わったことにいつまでもこだわっているのは時間の無駄です。
午後の面接に備え、自分の書いた症例レポートに再度目を通し、疾患や検査などについて自作の想定質問などを見ながら、ヌケがないか、詰めていきます。

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で、みるみる時間が経過し、ドキドキしながら集合場所へ。
待機場所へと誘導され、受験者が一部屋に集められ、「ここから一人ずつ呼ばれるので、お待ちください」とのこと。
緊張が高まってきます。

以下次号。