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久しぶりの更新です。

少し前のニュースですが、「加藤茶さんに重病説が流れたが、結果的にはパーキンソン症候群で、あまり大したことにはならなかった」との報道がありました。何でも、胃薬が合わず、副作用で起こしたのだということです。
この報道で、私などは「ははぁん」とピンときました。

「パーキンソン」は病名としては結構知名度がありますが、実はこれ、神経内科の専門中の専門と言っていい病気です。
ひと口に「パーキンソン」といっても、大別して「パーキンソン病」と「パーキンソン症候群」の2つがあり、主症状はよく似ていますが、原因や経過が明確に異なります。
このうち、パーキンソン病については、「脳のこの部分がこういう風にやられる」と言うことが明確に、顕微鏡レベルで確定しています。詳しく言うと、中脳の黒質と言う部分が変性と言う変化を起こす、という風に判明していて、これはもう医学生レベルでも知っていなければならない知識で、当然国家試験にも出ます。従って、建前上はすべての医師が知っていなければならない(知っているはずの)知識です。
一方、パーキンソン症候群は、パーキンソン症状を起こすもので、パーキンソン病以外の全てのものを指します。これには色々な原因があり、これまた医学部の進級試験や国家試験ではよく聞かれる項目です。
この、パーキンソン症候群を起こす原因として、脳梗塞や脳炎、重金属中毒、各種の神経変性疾患などがあります。
さて、このパーキンソン症候群を起こす「色々な原因」の中に、ある種の薬が含まれます。いろんな種類の薬で見られるのですが、その一つに実は胃薬があります。細かいことを言うとかなり色々あるのですが、日常診療上で良く遭遇するのは、3種類程度です。従って、あの報道を見て、sの3種類がパッと頭に浮かびました。薬剤名までは報道されていないようですが、いずれにしろ薬剤性のパーキンソン症候群は、薬をやめれば回復します。加藤茶さんも既に高齢なので、その後の経過はいささか気にかかる所ですが、まああまり心配はいらないでしょう。

ところで、薬剤性パーキンソン症候群を起こす薬の筆頭と言えば、何と言っても抗精神病薬です(よく混同されるのですが、この場合は「向精神薬」ではなく、「抗精神病薬」です。念のため)。2000年代になって出てきた、いわゆる非定型抗精神病薬では、定型抗精神病薬に比べて、副作用としてのパーキンソン症候群を起こす頻度は大分減ってはいますが、それでも軽いものを含めるとまだまだ普通に見かけます。殊に私は神経内科医ですので、パーキンソン症状には殊更敏感になってしまいます。

薬剤性パーキンソン症候群の治療の原則は、原因となる薬剤の減量ないし中止です、加藤茶さんはこれが出来た訳ですが、精神科では治療の必要上、抗精神病薬の使用は避けられないケースもあり、そうなると副作用が出るのを覚悟で使わなければならない場合もあります。その場合、抗パーキンソン薬を使うこともありますが、抗パーキンソン薬にもそれなりの副作用がある訳でして・・・。

精神科と神経内科の診療では、オーバーラップする部分は結構ありますが、このパーキンソン症候群もその一つです。

ちなみに、最近知名度が少しずつ上がってきた、レビー小体型認知症もパーキンソン症状を起こします。厳密に言えば、レビー小体型認知症で起きるのはパーキンソン症候群というよりパーキンソン病と言った方がいいかも知れません。その辺の位置付けについては、レビー小体等の脳内蛋白に関する近年の研究結果を踏まえ、色々と疾患概念上の議論がありますが、あまりにも専門的になるので、この辺でやめておきましょう。
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