前回、岡田先生のご講演で「診療に当たっては、生活状況を綿密に聞く必要がある」という点に共感した、と書きました。

私も、睡眠の診療をする時には、普段の生活や家のことなど、問診票も活用しながらかなり詳細に聞きます。
食事は何時に摂るか、入浴は何時で、シャワーか湯船か、布団に入るのは何時で、寝付くまでどれ位かかるのか、途中で目が覚めることはないか、トイレに起きるか、その後すぐ眠れるか、朝は何時に目が覚めるのか、目覚ましを使うか、目が覚めてから布団を出るまで何分位かかるのか、寝室の遮光の具合や温度はどうか、寝ている時エアコンや扇風機、電気毛布などを使うか。社会人なら通勤手段は何で、所要時間はどれ位か、業務の内容はどんなものか、事務仕事か、機械運転はあるか、業務で運転するか、会議は多いか、PC作業は多いか、動き回るかどうか、接客かどうか、対人関係のストレスは、残業は無いか、帰宅は何時頃か、資格試験や納期等で追込み・多忙な時期ではないか、プライベートで結婚・出産や転居・転勤などを控えていないか、女性なら生理周期はどうか、もちろん他に治療中の病気は無いか、サプリメントなどを常用していないか、偏食は無いか、飲酒・喫煙はどうか、家の間取りはどうか、ベッドパートナーから「いびきがうるさい」とか「殴られた」と言われたりしていないか、いびきの音量のあまり別室で寝てはいないか、睡眠中に知らず知らず冷蔵庫をあさっていないか、寝ぼけてベッドパートナーを殴ったり蹴ったりしていないか、壁に穴をあけたことは無いか、等々・・・・・とにかく詳細に聞きます。もちろん、患者さんの状態や疑われる疾患によって多少のアレンジはありますし、外来の詰まり具合では多少端折ることもありますが、場合によっては結構立ち入ったこともズバズバ聞きます。


睡眠は生活の一部なので、不眠は生活習慣が原因の事も多いのです。そこで、睡眠習慣の改善が必要になりますが、睡眠習慣の改善は、すなわち生活サイクルの改善でもあります。そこで生活のパターンを詳しく聞いたりするのです。

と同時に、生活習慣改善のアドバイスをする時も、長くなりがちです。ただ単に規則正しくしなさい、ではいけません。
子供の夜泣きで眠れないのかもしれません。介護のため、起きざるを得ないのかもしれません。シフト勤務で、どうしても不規則になるのかもしれません。
受験生もいるでしょう。24時間勤務の警察官や、演習や訓練で徹夜を強いられる自衛官、締め切りの近い作家、年度末の税理士さんなど・・・。そういう生活全般を無視して、ただ「早寝早起きしなさい」では何の解決にもなりません。「こっちの事情も知らないで好き勝手言ってやがる」と思われて、通院を辞めてしまうのがオチです。今の生活をできるだけ維持しながら、患者さんの苦痛や困りごとが解決できるように、かつ将来の健康リスクを少しでも低下させるように・・・。


そんな風なので、睡眠外来はいつも遅れがちです。私自身、銀行などで待たされるのは嫌なので、待たせるのも嫌いなのですが、午後3時~5時に予約をされている患者さんには、いつもご迷惑をかけてしまいます。

個々の患者さんにはもっと時間をかけたいが、そうすると他の患者さんに迷惑がかかる・・・。
外来をやる医師にとって、永遠のジレンマです。
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