2013.05.19 当直明け
昨年から当院で当直できる医師が少し増えたことで、私が当直をしなければならないペースが減りました。
でも、時々私にお鉢が回ってきます。先日、少し久しぶりに当直をしました。
私に当番が回ってくるのは、いつも救急当番日の当直です。
つまり、精神科に絡む救急患者を受け入れる当番の日という事です。

精神科の場合、特殊な科なので、救急体制が他の科とはやや異なります。
愛知県を含む、多くの県で採用されているのが輪番制です。

日本の精神科医療は、その大半を民間の単科精神科病院が提供しているという背景があり、市民病院や赤十字病院などの総合病院では入院設備を持っていないことも多く、また大学病院など、病床があっても精神的に興奮の激しい人は入れられないなどの事情があったりして、そんな訳で多くの場合、救急患者の受け入れは民間の単科精神科専門病院が行います。
そこで輪番制が登場するわけです。県や市等の行政機関と医師会・精神科病院協会などが申し合わせをして、民間病院が輪番制で救急患者を優先的に受け入れる訳です。不安が募ってどうしようもないので薬が欲しいという人から、興奮して自宅で暴れてしまう人、警察官に連行される人も少なくありません。


さて、先日の当直もそんな感じでした。とにかく1人の患者を診察している間に次々と診療依頼が舞い込み、そのどれもが入院を必要とするようなケースです。開けていたベッドも埋まり、夜勤看護師のマスターに無理を言って、何とか病床を開けてもらい、無理やり押し込んだ感じです。

夕食の時間は過ぎていましたので大丈夫でしたが、、一晩中、横にすらなれない当直というのは久しぶりでした。
大学病院や市民病院の救急当直でも、ベッドにすら入れないなんて、そうあることじゃないんですがね・・・。
とどめに、翌日の午前中は会議、午後は外来です。
どうなることかと思いましたが・・・・何とかなるもんですね。
若かりし頃を思い出しました。
やっぱり研修医時代は、そういう事も少なからずあったもので。



でも、今考えるとあれって危険なんですよね。ボーっとした頭で救急医療やるんですから。
さらに言うならば、医師の場合は当直の翌日も休みにはなりません。
今の研修医は、その点制度上守られていて、大学の当直明けは休みもしくは半日で返しなさい、と上から指示が来ます(大学や病院により温度差はあるでしょうが)。また、自主的に残っている人も結構います。
しかし、ただでさえ知識・経験が不足している研修医が、いくら若いとはいえ、寝ぼけた頭で診療するのは危険です。
いや、ベテランだって危険です。
でも、現実的にはやらざるを得ません。

外科系の中でも、脳外科と整形外科は夜間の当直時に呼ばれることが多いです。そのまま緊急手術になることもあります。翌日には、自分が執刀する手術の予定が入っていることもざらです。
つまり、当直で眠れなかったその頭と身体で、また何時間という手術をこなす訳です。
「自分が執刀する予定の前日には、当直しないように」という指示もありましたが。マンパワーの関係上、そんな事したら当直が回りません。それに、人数の少ない医局では、ひとたび緊急手術ともなれば若手・中堅が全員呼ばれる、なんてことも決して珍しくありません。循環器の心臓カテーテルなどもそうですね。もちろん、胸腹部の外科だって夜中の緊急手術はありますが、脳外科と整形外科は、呼ばれる回数が段違いです。

しかし、危ないのはわかっていても、疲労や寝不足を理由に救急患者を断ることは法的に許されていません。
危なかろうが何だろうが、その状況に置かれればやるしかありませんし、医師たるもの、その場になれば頭と体は何とか動くものです(年齢的な限度はありますが)。

でも、それで結果が思わしくないと訴訟になったりすることもあり・・・。
だから病院勤務医、特に外科系のなり手が減るんですよね。
医療崩壊は様々な要因が絡み合い、複雑で根深い問題を孕んでいます。
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