気だけは若いつもりの私ですが、体力やピント調節などと共に色々衰えを感じつつあります。
そんな中で、若い人(という表現も自分が年を取ったようで抵抗があるのですが)とのコミュニケーションで、言葉の世代間ギャップに驚くことが少しずつ増えてきました。
ましてや、私達の親・祖父母世代の患者さんと、経験の浅いスタッフとの間では、思わぬ行き違いも生まれます。

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あるおじいさんのナースコールが鳴って、若い看護師が向かいました。
「どうされました?」
「部屋を替えて欲しいんだわ」
「どうされたんですか?」
「ここは窓際だから、日当たりがきつくて・・・」
「分りました。師長さんと相談してみますね」
「シチョウって・・・・どこの市長だ?」
「?・・・・この病棟の師長ですが」
「おらぁ、○○市に住んでんだ。ここは××市だろう?」
「??・・・・・はぁ・・・その通りですが」
「何で市長と相談なんかすんだ?先生と婦長さんで決めりゃよかろう」
「ええ、ですから師長さんと相談して・・・」

同じ部屋の隣の患者さんを診察していた私。
診察の間は、笑いをこらえながら黙って聞いていたのですが、押し問答でらちがあきません。
あまりのんびり構えていると、このままではシャレにならなそうな雰囲気になってきました。これは若い看護師の手には余るようです。私の受け持ちではありませんが、幸い、神経内科の患者です。診察を終えると、横から口を挟みました。
「すみません、おっしゃることはわかりました。私から婦長に相談しておきますから」
「あぁ、そうけ。んじゃ、よろしく」


若い看護師は「医師と看護師に対する態度が違う」とでも思ったのでしょうか、不満顔でしたが、部屋を出てから教えてあげました。
「お年寄りの頭は『看護婦』で固定されているので、『カンゴシ』と言えば『看護士』だし、師長は『婦長』と言わなければ通じないことがあるよ」
「そうなんですか・・・」
ずっと「師長」で育ってきた看護「師」はいささか不思議そうな顔をしていました。

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自衛官にも「シチョウって、何だか自衛隊みたいだな」と笑われたことがあります。
自衛隊にも、「士長」すなわち「シチョウ」がいるのです。

医者モノでは「死んだ医者(寝台車)」とか「ヤクザ医師(薬剤師)」なんて他愛もない言葉遊びもありますが、言葉の行き違いは予想もしない行き違いを生むことがあります。
それが笑える結果ならいいのですが、時に悲劇に至ることもあります。
時には魔法の薬になることもあり、治療の効果を帳消しにする毒にもなります。

上手く使いたいものですね。
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